ガソリンよりも軽油の方が安い、ということはディーゼル車の方がお得なのか??
車を持つ人にとっては、一度や二度はこういった疑問を持つのではないでしょうか。
ガソリンスタンドの料金表を見てみると、ガソリンよりも軽油の方が1ℓ当たり20円ほど安いです。
ということはガソリン車よりも燃料代は安くなる、つまりディーゼル車は節約になる??
って気になりますよね。
というわけで今回は、ガソリン車とディーゼル車では維持費がどれだけ違うのか、ということをディーゼル型CX-3に1年間乗っているぼくが解説していきます。
Contents
ディーゼル車とガソリン車の違いとは??
まずディーゼル車とはなんなのか?というところから説明していきますね。
ディーゼル車とは、ディーゼル(=軽油)を燃料にして動く自動車のことです。
ガソリン車とはそもそもエンジンの構造が異なってきます。
<ざっくりとしたエンジンの大きな違い>
- ガソリンエンジン:エンジン内の点火プラグでガソリンに着火させ、動力を得る
- ディーゼルエンジン:軽油の引火点に達するように空気を圧縮して高温にし、軽油に引火させて動力を得る
エンジン内の構造がそもそも違うので、ガソリンエンジンに軽油入れても、ディーゼルエンジンにガソリンを入れても動きません。
外見は全く同じであっても、中身は全く違うのです。
ディーゼル車にかかる費用内訳とディーゼル特有のメンテナンス項目
ディーゼル・ガソリン車の維持費の違いを見る前に、まずそれぞれの車を維持するにあたってみるべき項目の違いについて説明していきます。
車を持つうえでメンテナンスするのに必要な項目がガソリン・ディーゼルで若干異なります。
というか、ディーゼルの方が増えてきます。
- 自賠責保険
- 自動車税・重量税
- 任意自動車保険
- 燃料(ガソリン)
- エンジンオイル
- ミッションオイル
- 車検
- 自賠責保険
- 自動車税・重量税
- 任意自動車保険
- 燃料(ガソリン)
- エンジンオイル
- ミッションオイル
- 車検
- 水抜き
- (アドブルー補充)
基本的に車を持つうえで共通項目ではあるのですが、ディーゼル車となると、「水抜き」と車種によっては「アドブルー補充」が必要になってきます。
ディーゼルエンジンにおける水抜きとは
ディーゼルエンジンではガソリンでは行う必要が無い、水抜きをする必要が出てきます。
まず燃料となる軽油には微量ながらも水などが混合しています。
その水分が次第に燃料タンク内部などに溜まっていき、支障をきたしてしまいます。
この水分を排出しないと
- 凍結などにより車が損傷
- エンジン内の破損
などが起こり得ます。
そう言ったトラブルを防ぐために、ディーゼルエンジンでは定期的に水抜きを行う必要が出てきてしまうのです。
車種によってはアドブルー(尿素水)を補充しないといけない場合も
また車種によってはディーゼルエンジンが出す排気ガスの有毒成分を浄化するためにアドブルーという尿素水が消耗品となる車もあります。
幸いにしてぼくが乗っているマツダCX-3をはじめ、近年マツダから販売されている車は”クリーンディーゼルエンジン”と言って、アドブルー不使用で排気ガスの浄化を実現しています。
しかし他のメーカーのディーゼルエンジンの場合、アドブルーを使わないと排気ガスの浄化ができないので、定期的に補給する必要が出てきてしまうのです。
アドブルーで排気ガスを浄化する理由
ディーゼルエンジンの排ガスにはガソリンと比べてCO2が少ない反面、PM(粒子状物質)やNOxなど有毒物質を多量に含んでしまう。
そのため日本だけでなく世界的にディーゼル規制がされており、その規制を満たすためにアドブルー(尿素水)を利用してPMやNOxを抑制し、浄化する必要がある。
ディーゼル車所有の際に気を付けるべき2つのポイント
維持費が安く済むディーゼル車ですが、ガソリン車と同じような感覚で乗れるかというと、いくつか気を付けるべきポイントがあります。
ここではそのポイントを二つ挙げていきますね。
給油の際にガソリンを入れないこと
ディーゼル車は軽油を燃料にして動く車なので、ガソリンを入れてはいけませんよ。
当記事序盤でもお話しした通り、ディーゼル車とガソリン車は中身は全く別物であり、ディーゼル車は軽油じゃないと動かない仕組みになっています。
そのためガソリン車からディーゼル車に乗り換えるときは、いつもの癖でガソリンを入れてしまいそうになるところですが、故障の原因となるので気を付けるようにしてくださいね。
実際にガソリン車にディーゼルを入れたアホな実験結果がこちらのサイトにあるので、気になる方はご覧になってくださいね。
定期的に水抜きをするのを忘れないようにしよう
恐らくガソリン車に乗っている人が絶対に分からないであろうことだと思いますが、水抜きはディーゼル車には欠かせなくなります。
先述の通り水抜きを怠ると車の故障の原因となってしまいます。
業者さんによると水抜きの頻度は20,000kmに一回程度。
そのくらい頻度が少ないとつい忘れてしまいそうですね。
とは言っても、最近の車だと水抜きのタイミングになったら警告灯が点灯してくれるので忘れる心配はまぁ無いかと思います。
そのタイミングになったら、水抜きが必要のサインかもしれないので、業者さんに相談してみましょうね。
ディーゼル・ガソリン車の本体価格はどっちが安い??
ディーゼル車の維持費が安いとはいえ、本体価格がそれを上回る金額だったら意味がありません。
というわけで本体価格を見てみます。
新車価格は圧倒的にガソリン車が安い
まずは新車価格で見比べてみます。
マツダから販売されている主要ガソリン・ディーゼル両モデルが販売されている車を比較してみます。
ガソリン車 | ディーゼル車 | |
デミオ | 1,393,200円 | 1,814,400円 |
CX-3 | 2,127,600円 | 2,728,080円 |
CX-5 | 2,570,400円 | 3,115,800円 |
新車の場合、どのモデルも50万円ほどガソリン車の方が安いことが分かりますね。
節約目的でディーゼル車を購入する場合、ガソリン車に比べた金額の差額分が取れるか、というところが争点となってきます。
中古車に出回っている車で見ると、車種によっては大差が無い場合も
しかし中古車市場に目を向けてみると、車種によってはガソリン・ディーゼル間では差が小さい、もしくは無い場合もあります。
中古車の場合だとどのくらいの価格なのか、カーセンサー.netで調べてみました。
<条件>
- 年式は2017年以降販売された車に絞る
- 支払い総額で最も安い車を比較(検索結果は2019/6/21のもの)
ガソリン | ディーゼル | |
デミオ | 850,000円 | 1,110,000円 |
CX-3 | 1,718,000円 | 1,660,000円 |
CX-5 | 2,050,000円 | 2,121,000円 |
最安値を調べた限り、デミオはガソリン車も人気が高いのか、ディーゼル車に比べて値段の安さが目立ちます。
一方のCX-3・CX-5に関しては、中古市場に出回っている車がディーゼルが多いということもあり、ガソリン車と金額の差はほぼ無いと言っていいです。
販売業者によってはディーゼルの方が安かったりするようなものもあります。
なので中古車を前提に考えるのであれば、本体価格の差額はそんなに気にしなくてもいいかなぁ、という感じですね。
新車の場合ディーゼル車はガソリン車よりも50万円ほど高く、本体の元を取るだけで10年以上掛かってしまう。
しかし中古市場に関してはモデルによってはガソリン車と値段がほとんど変わらない物もある
ディーゼル車VSガソリン車、どっちがいくら安い??
ここからはディーゼル車とガソリン車では維持費がどれだけ安くなるのか、比べてみることにしました。
今回はぼくがマツダ・CX-3に乗っているということもあるのでCX-3のガソリン車と引き合いにしながら計算を出していきます。
ディーゼル・ガソリン車の維持費について
<以下計算に持ち出す仮定の数値>
【燃費について】
- 毎月の走行距離は1,000km(2年間の走行距離にして24,000km)
- 燃料代はガソリン140円/ℓ、軽油120円/ℓとする
- CX-3ディーゼルのカタログ燃費が23.0km/ℓに対して実燃費が19.5km/ℓ程度
- ガソリンのカタログ燃費は16.2km/ℓなので、ディーゼルのカタログ・実燃費の違いから、13.7km/ℓと仮定(ディーゼルの実燃費÷カタログ燃費の掛け率)
【エンジンオイルについて】
- エンジンオイルは3ヶ月に一度、3ℓ交換する
- 価格はディーゼル1,112円/ℓ、一度の交換で3,336円
- ガソリンの場合は1,204円/ℓ、一度の交換で3,612円
【水抜きについて】
- 業者さんの話によると、20,000kmごとに行う必要がある(年間走行距離は24,000kmなので、2年に1度くらい)
- 一回当たり3,240円掛かると仮定(実際に業者さんからそのくらいかかると聞いた)
CX-3(ディーゼル) | CX-3(ガソリン) | |
ガソリン代 | 147,692円 | 245,255円 |
エンジンオイル | 26,688円(3,336/3ヶ月×8) | 28,896円(3,612/3ヶ月×8) |
自賠責保険 | 25,830円(/2年) | 25,830円(/2年) |
自動車税 | 79,000円(34,500/年×2) | 79,000円(34,500/年×2) |
自動車保険(任意保険) | 110,980円(55,490円/年×2) | 110,980円(55,490円/年×2) |
車検(回/2年) | 40,000円(/2年) | 40,000円(/2年) |
水抜き | 3,240円 | 0円 |
合計金額(2年間) | 433,430円/2年 | 529,961円/2年 |
同じCX-3モデルで比較したところ、2年間で10万円近くも維持費が安くなることが分かりました。
その要因のほとんどが、当然ながら軽油の安価さにありますね。
この比較からディーゼル車を所有することで節約できる、とは言える金額になりますね。
とはいえガソリン車にはCX-3よりも燃費がいい車がたくさんあります。
というわけで条件を整えるために燃費がディーゼルCX-3と全く同じ場合(19.5km/ℓ)で計算してみたところ、ガソリン代はCX-3(ガソリン車仕様)よりも7万円低い172,308円となりました。
2年間の合計維持費は、457,014円。
燃費が同じくらいのガソリン車になりますと、2年間で2万円程度と、そこまで大きな節約にはならないことが分かりました。
同じモデルのガソリン・ディーゼル同士の比較の場合、ディーゼル車の方が燃費がいいので、維持費はかなり安くなる。
しかしディーゼル車と同レベルの燃費のモデルと比較する場合、差がかなり縮まり、節約の効果が下がってしまう
ディーゼル車は節約目当てに買うべきか!?
ではディーゼル車は節約目当てに買うべきか、ということについてですが、
欲しい車種による、というのが結論です。
「軽自動車は考えてないけどコンパクトに乗れる普通車がいい」というのであれば、デミオのガソリン車、もしくはそれよりも本体価格が安いガソリン車を購入した方が安く済みます。
維持費の安さで本体価格の差額分を賄えないのです。
しかしそれなりに長距離運転をすることもあるのであれば、選択肢として挙がるCX-3やCX-5のSUVディーゼル車がお得になるといえるでしょう。
実際にCX-3・CX-5クラスでそれよりも燃費に優れている車種はトヨタのC-HR(ハイブリッド)のみ。
しかしこちらはCX-3よりもエンジン排気量が1800ccと一回り大きく、自動車税を余分に取られてしまうのでトータルで見ると損することも。
節約家オススメ!維持費が安く済むディーゼル車
ここからは節約家であるぼくがお勧めしたいディーゼル車を2つだけピックアップしてみます。
2つと言っても両方ともマツダなんですけどね(笑)
乗り心地は抜群!マツダ・CX-3
まずお勧めしたいのがぼくが実際に乗っているマツダのCX-3です。
ガソリン車と比較した場合、ディーゼル仕様では燃費が格段に良くなっており、ガソリン代をいい具合に節約できます。
また走り心地も非常に良く、乗っていてスピード感を感じにくいので疲れにくく、長距離ドライブにも最適です。
もし中古車から選ぶのであれば、CX-3においては中古市場に出回っている車はディーゼルが圧倒的に多いので、本体価格はガソリン車と大差無いのも選べるポイントの一つなんです。
コンパクトで乗り回しやすい、マツダ・デミオ
ぼくが乗っているCX-3も魅力的な車の一つなのですが、それよりも一回りコンパクトなマツダ・デミオも捨てがたいところですね。
燃費もカタログ上においてはCX-3で23.0km/ℓに対して、デミオでは26.3km/ℓとなっており、より安い維持費を見込めるのではないかと思います。
またデミオは車市場において人気の高いモデルということもあり、本体価格が手ごろな値段で入手しやすいので手に届きやすい車種ではないでしょうか。
「ディーゼル車に興味はあるけど、コンパクトカーがいい」という方はほぼこれしか選択肢が無いと言っていいくらいです。
まとめ
というわけでディーゼル車は維持費が安いのか?節約になるのか??ということについてまとめに入ります。
- マツダのディーゼル車の場合、同モデルのガソリン車に比べると2年間で10万円近く維持費が安くなる
- しかしディーゼル車そのものの燃費がいいという要因もある。実際にディーゼル車と同燃費のガソリン車を想定して計算したところ、2年間で2万円ちょいしか安くならない
- その反面、自動車本体はガソリン車の方が新車価格で50万円も安く、中古車でも車種によってはその傾向がある
- しかし一部のディーゼル車では中古車においてはガソリン・ディーゼルとも差が小さいモデルもある
結論:あなたが欲しい車種による
デミオのようなコンパクトカーが欲しいのであれば、本体価格がかなり安いガソリン車を選ぶのがオススメです。
しかしCX-3やCX-5のような、そこそこずっしりした車が欲しいのであれば、ディーゼル車という選択肢もアリです。
まずはあなたがどんな車が欲しいのか、考えてみてはいかがでしょうか。
そのうえで、本体価格と維持費の違いを見た上で判断しましょうね。