キャッシュレスのセキュリティ対策に懸念を感じて、利用するのをためらっている人は多いのではないでしょうか。実際にクレジットカードをはじめとした、キャッシュレスは不正利用の事例があるので、懸念されるのは無理もありません。
しかし、キャッシュレスサービス側も最新のセキュリティ技術を導入しているので、安心して利用できます。また、キャッシュレス決済は自分で対策を取れることも多いので、過剰に恐れる必要もありません。
そこで本記事では、キャッシュレス決済のセキュリティについて、以下の内容を解説します。
- キャッシュレス決済の不正利用事例
- 自分で取れるセキュリティ対策
- サービス側が導入しているセキュリティ技術
キャッシュレス決済を安心して使うために、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
キャッシュレス決済の不正利用事例
まずはキャッシュレス決済における不正利用の事例について紹介します。
- クレジットカード番号の盗用
- QRコード決済のステッカー詐欺
- 決済画面の偽造
- QRコード決済画面の盗撮
- SIMスワッピング
ひとつずつ見ていきましょう。
1. クレジットカード番号の盗用
「クレジットカード番号の盗用」は利用者のクレジットカード情報を不正に取得し、その情報を使って第三者が商品やサービスの購入に使います。
情報の盗用は以下のように、さまざまな方法で行われます。
- フィッシングサイトに入力してしまった
- フリーWiFiによりデータを傍受された
- 物理的にカードをコピーされた など
そのため、クレジットカードを保有している人はしっかり管理するだけでなく、安全な場所でのみ使うことを徹底しなければなりません。
2. スマホ決済のステッカー詐欺
「スマホ決済のステッカー詐欺」は、店舗や商品の正規のQRコードの上に不正なコードを貼り付ける手口です。消費者が不正コードと知らずにスキャンして支払いを行うと、正規の支払先ではなく、詐欺師のアカウントに振り込まれてしまいます。
ステッカー詐欺が起こる背景には、QRコードが不正に発行されたとしても利用者・店舗側ともに気づきにくいことが挙げられます。
安全にキャッシュレス決済を利用するためには、不審なステッカーやシールが貼られていないか、確認することが大切です。ステッカーやシールが貼られていた場合は、店員に確認しておくと、詐欺師へお金を振り込んでしまう事態を防げるでしょう。
3. 決済画面の偽造
詐欺師が正規のオンラインショップやサービスの決済画面を模倣して作成し、消費者を騙す手口もあります。偽の決済画面であることに気づかずにクレジットカードの情報を入力すると、カード番号はもちろんログイン情報などが詐欺師の手に渡り、不正利用されるリスクが生じます。
偽の決済画面に入力してしまうと不正利用の被害に遭うだけでなく、漏洩した情報を元にさらなる詐欺や個人を狙った攻撃が行われる可能性もあります。
偽の決済画面に遭遇しないためには、心当たりのないリンクにはクリックしないことが大切です。
4. スマホ決済画面の盗撮
スマホ決済を使っている人が注意すべきは、決済のために表示するQRコードを第三者がこっそりと撮影している可能性があることです。撮影したQRコードを元にユーザーの決済情報を取得し、不正な取引や他の詐欺行為を行えるようになってしまいます。
とくに近年は盗撮が巧妙化しており、社会的問題になっていることから、いつどこであなたのQRコードを撮られているかわからないものです。スマホ決済を使う人は、第三者から画面を見られないように工夫することが求められます。
5. SIMスワッピング
SIMスワッピングとは、不正に自らのSIMカードに他人の携帯電話番号を移行する手口を指します。詐欺師のスマホに携帯電話番号を移行することでSMSを受信できるようになり、多くのSMS認証を突破できてしまいます。
この手口の背景には、多くのサービスがセキュリティ強化のためにSMS認証を導入していることがあります。しかし、携帯電話番号の移行手続きは比較的簡単であるため、詐欺師は少ない情報でSIMスワッピングができてしまうのです。
キャッシュレス決済におけるセキュリティの重要性
上述したように、キャッシュレス決済はさまざまな手法で不正利用が行われているため、セキュリティ対策が重要となります。
キャッシュレス決済は利用者の金融情報・個人情報の塊です。不正にアクセスされたり第三者に漏洩したりすると、不正利用や詐欺の被害に遭うリスクが大きくなります。
そのため、キャッシュレス決済サービス提供者は、高度な暗号化技術や二段階認証など、多岐にわたるセキュリティ対策を施しています。利用者側も定期的なパスワード変更や不審な取引の確認など、自身でもセキュリティを保つ努力が求められます。
安全なキャッシュレス決済を享受するために、セキュリティの重要性を理解し、適切な対策を取ることが不可欠です。
クレジットカード利用者向けのセキュリティ対策
キャッシュレスの中でもとくにクレジットカードを利用することが多い人は、以下の対策がおすすめです。
- カード自体を紛失しない
- 「https」から始まるURLでのみカード情報を入力する
- 心当たりの無いメールやリンクはクリックしない
- 定期的に取引履歴を確認する
いずれもすぐに始められることばかりなので、ぜひ取り入れてみてください。
1. カード自体を紛失しない
クレジットカードを安全に利用する基本は、まずカードをなくさないことです。カードが紛失や盗難に遭うと、第三者に不正利用されるリスクが高まります。
カードを所定の場所に保管し、外出時も財布やカードケースにしっかりと収納することが大切です。また、カードを使用した後は速やかに元の場所に戻す習慣をつけることで、紛失のリスクを低減できます。
もしカードを紛失した場合は、すぐにカード会社に連絡し、カード利用の停止手続きを行いましょう。利用停止するだけで、不正利用の被害を最小限に食い止められます。
2. 「https」から始まるURLでのみカード情報を入力する
クレジットカードでオンライン決済をするときは、URLが「https」から始まるページでのみカード情報を入力するのが有効な対策です。「https」はデータが暗号化されて安全に送受信されることを示しています。
実際に大半のWebメディアは「https」で運用されています。
これに対し、「http」から始まるサイトは暗号化されていないため、第三者に情報が盗まれるリスクが高まります。とくに、購入や会員登録などの際にクレジットカード情報を入力する場面でURLを確認することは非常に重要です。
3. 心当たりの無いメールやリンクはクリックしない
心当たりのないメールやリンクをクリックしてしまうと、偽の決済画面へ誘導されて個人情報を抜き取られる「フィッシング詐欺」の餌食になってしまいます。フィッシング詐欺では正規の金融機関やサービス提供者を装った偽のメールやWebサイトを通じて、利用者のクレジットカード情報やログイン情報を騙し取ろうとします。
実際に以下の画像のような感じで、業者に成りすましてリンクへ誘導し、個人情報を抜き取ろうとしてきます。
不審なメールや突然のリンクは、基本的に情報を盗むための罠であると考えてください。実際に利用しているサービスからメールが届いたのか気になる場合は、中のリンクは踏まずにブックマークやGoogle検索などからアクセスすれば、被害に遭わずに済みます。
4. 定期的に取引履歴を確認する
クレジットカードを安全に利用するためには、定期的に取引履歴を確認することも非常に重要です。取引履歴をチェックすることで、自分が行っていない取引や怪しい請求を早期に発見できます。
不正利用や第三者による不審な取引があった場合、速やかにカード会社に連絡することで被害の拡大を防げます。
また、クレジットカードの利用履歴を定期的に確認することで、自分の支出を把握できるというメリットも。専用アプリや家計簿アプリを活用し、月に数回は取引履歴を見る習慣をつけることで、クレジットカードの安全性を高められるでしょう。
スマホ決済ユーザー向けのセキュリティ対策
キャッシュレスの中でもスマホ決済を中心に使う人は、以下の対策を取り入れましょう。
- アクセスするのは公式アプリのみにする
- スマホのセキュリティも活用する
- フリーWiFiの利用を避ける
- 公式アプリを定期的に更新する
ひとつずつ解説します。
1. アクセスするのは公式アプリのみにする
スマホ決済を安全に利用する基本的な対策として、公式アプリからのみアクセスするようにしましょう。不正なアプリや偽装サイトからのアクセスは、詐欺師がユーザーの情報を騙し取るための手口としてよく用いられます。
公式アプリを使用することで、安全なサーバーとの通信が確保され、情報の漏洩や不正利用のリスクを大幅に低減できます。アプリのダウンロード時やアップデート時には、公式のアプリストアや公式サイトからのみ行うよう注意しましょう。
公式のアプリストアでも本物がどれなのか見分けが付かないときは、スマホ決済サービスの公式サイトへアクセスし、インストールボタンを探してみてください。
2. スマホのセキュリティも活用する
スマホ決済を安全に利用するためには、スマホ自体のセキュリティ対策も非常に重要です。スマホそのものが不正アクセスやウイルスに感染してしまうと、インストールされている決済アプリの情報も危険にさらされる恐れがあります。
まず、スマホにはパスコードや指紋認証、顔認証などのロック機能を必ず設定しましょう。紛失や盗難時の不正利用を防ぐことにつながります。
さらに、定期的にOSのアップデートを行い、セキュリティの脆弱性を修正することも大切です。とくにOSのアップデートは後回しにしがちな部分なので、スマホから通知が来たらすぐにでも対応しておきましょう。
3. フリーWiFiの利用を避ける
フリーWiFiを利用している最中はスマホ決済を避けることも、有効な対策となります。フリーWiFiは無料で使えて便利である一方で、セキュリティが不十分なので第三者による傍受やデータ流出のリスクが高まります。
とくに駅や空港など公共の場所で提供されるフリーWiFiは、不正なアクセスポイントが設置されていることもあり、接続してしまうと第三者から見られ放題なんてことも。
安全な決済を行うためには自宅のWiFiやモバイルデータ通信などの、信頼性の高いネットワークを利用することで、情報漏洩のリスクを一気に下げられます。
4. 公式アプリを定期的に更新する
スマホ決済を安全に利用するためには、公式アプリを定期的に更新することを忘れないようにしてください。アプリの更新には新機能の追加だけでなく、脆弱性の修正やセキュリティの強化も含まれています。
逆に古いバージョンのアプリを利用し続けると、システムの脆弱な部分を突かれ、情報漏洩や不正利用につながるリスクが高まります。アプリの更新を怠ることで、不正アクセスやデータの漏洩などのリスクにさらされる可能性もあるでしょう。
そのため、アプリの更新通知が来た際には、速やかに最新バージョンにアップデートしておきましょう。スマホの設定で「アプリの自動更新」をONにしておけば、アップデートし忘れる事態を防げます。
キャッシュレスを安全に使える最新のセキュリティ技術を活用することも大切
キャッシュレス決済の安全性を高めるため、事業者側は最新のセキュリティ技術を取り入れながらサービスを運用しています。キャッシュレスで使われているセキュリティ技術を、以下にピックアップしてみました。
- 二段階認証
⇒ログインや取引時に追加の確認手段(SMSや専用アプリの通知)を求める - 暗号化技術
⇒データの漏洩や改ざんリスクを低減につながる - バイオメトリクス認証
⇒指紋や顔認証などの個人固有の情報を利用する認証方法
不正利用の手口は年々巧妙になっているので、セキュリティ技術も最新のものにしていかないと、いずれは必ず被害に遭います。
最新のセキュリティ技術を常に使い続けるためには、アプリやソフトウェアを最新版に更新し、セキュリティの設定を適切に行うことが重要です。最新のセキュリティ技術を知り、適切に活用することで、キャッシュレス決済を安心して利用できます。
キャッシュレス決済は自分でもセキュリティ対策を取れば安全に利用できる!
キャッシュレス決済は不正利用の事例がいくつかあるので、使うのが怖いと感じる人もいるでしょう。しかし、利用者が安心して使えるように、事業者側は最新のセキュリティ技術を導入しながらサービスを運営しています。
また、利用者自身でも取れる対策はいくつかあるので、できることから取り入れることが大切です。キャッシュレスを安全に使う基本は、自分の情報を漏出させないことです。
キャッシュレス決済を使いこなせば、買い物のときに非常に便利になります。ぜひ安全に使うための対策を取りながら、キャッシュレスを使いこなしてみてくださいね。
キャッシュレスを活用するメリットについては「キャッシュレス決済は節約になる!4つのメリットとおすすめサービスを紹介」の記事で詳しく解説しています。便利なだけでなく節約につながる可能性もあるので、ぜひ参考にしてみてください。