フリーランスや個人事業主の中には、住宅ローンを組めるのか不安を抱えている人は多いでしょう。住宅はライフスタイルに大きく関わるため、住宅ローンを組めるかどうかは今後の人生を左右すると言っても過言ではありません。
実際に独立すると「フリーランスは住宅ローンを組むのは難しい」という話を聞いたことがある人も多いでしょう。
しかし、結論から言うとフリーランスでも住宅ローンは組めますし、独立4年目のぼくでも実際に組めました!ただし、会社員や公務員と違って難易度は高いことは事実です。
本記事では、フリーランスが住宅ローンを組むためのポイントや注意点について、ぼくの実体験も交えて解説しています。住宅ローンを組める可能性を少しでも上げるために、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
【実体験】独立4年目フリーランスが住宅ローンに通過したときの状況
まずは、フリーのWebライターとして活動しているぼくが住宅ローンの審査に通過したときの状況と、審査結果について説明します。
ぜひご自身の経歴や状況と照らし合わせながら、お読みいただければと思います。
なお、フリーランスが住宅ローンの審査に通過するためのノウハウを知りたい人は、こちらより遷移してください。
通過した時点での職業・年収
住宅ローンの審査に通過した時点でのぼくの状況は、以下のとおりです。
年齢 | 当時34歳(35歳になる2ヶ月前) |
---|---|
ローン審査に通過した日 | 2024年6月下旬ごろ |
職業 | 執筆業(Webライター) |
開業日 | 2020年2月 (ローン申込み時点で開業4年目) |
家族構成 | 妻(育休中) 子ども(生後4ヶ月) |
2023年の年収 (※確定申告書の所得額に青色申告特別控除を加算した金額) |
約486万円 |
用意した頭金 | 0円 |
結婚した時点でぼんやりと家を買うことを意識しており、子どもが生まれたタイミングで「そろそろ広い家が欲しいなぁ」と思っていたため、4月頃から家を探し始めました。
ちなみに年収についてですが、ぼくが通過した金融機関では、自営業者(フリーランス)の年収は「所得額+青色申告特別控除」の金額で審査が行われました。
詳細は後述していますが、多くの場合、フリーランスの年収は確定申告書類に記載されている「所得額」が該当します。
購入を決めた家
実際に購入を決めた物件は、以下のとおりです。
購入した物件 | 中古の一軒家(4LDK) |
---|---|
築年数 | 築18年 (2006年3月築) |
購入価格 | 3,480万円 (諸々手数料込) |
ローン借入期間 | 40年 |
アクセス | 最寄りのLRT停留所より徒歩15分圏内 |
新築も含めて探していたものの、最終的に決めた中古物件のほうが立地や設備などの条件が合致していたため、購入を決断しました。
審査結果
審査結果は決して順風満帆とはいきませんでした。実際に4社くらい申し込んだのですが、満額回答となったのはフラット35と信用金庫の2社だけでした。
金融機関 | 金利(年) | 提示された金額 | 備考 |
---|---|---|---|
地方銀行A | 0.625%(変動) | 2,700万円 | ― |
地方銀行T | 0.725%(変動) | ①2,900万円 ②2,700万円 |
①別途手数料140万円程度 ②妻との連名不可、別途手数料5万円程度 |
協同組織金融機関 | 0.725%(変動) | 否決 | 10年超の事業年数が必要 |
信用金庫 | 0.75%(変動) | 満額回答 (3,480万円) |
単独名義:手数料140万円 妻連帯保証人:手数料90万円 |
フラット35 | 1.8%(全期間固定) | 満額回答 (3,480万円) |
― |
ネット銀行R | 0.583% | 否決 | 住宅価格2,400万円の物件での結果 |
ネット銀行S | 0.298% | 否決 | 住宅価格2,400万円の物件での結果 |
※地方銀行Tは保証会社によって提示額が異なる
※金利はいずれも2024年6月時点
ネット銀行については別の低価格物件で否決されたため、今回の物件で通過する見込みはないという前提で進めていました。最初は不動産屋さんから「地方銀行でいきましょう」と提案を受けたものの、いずれも満額回答を得られません。
頭金を出すほどの余力もなかったため、ダメもとで信用金庫に申込みをしたところ、無事満額回答をいただけました。
つまり、フリーランスの住宅ローンは、金融機関の選択肢は限られるものの通過できる余地は十分にあると言えます。
フリーランスが住宅ローンの審査に通らないと言われている理由
実際にぼくが地方銀行や協同組織金融機関の住宅ローンに満足のいく回答をもらえなかった理由は、フリーランスは収入が不安定と見られるためです。正規雇用であれば、金融機関から見ると「収入が安定している」と認識できるため、安心して貸し出せます。
しかし、フリーランスはこなした仕事の量に応じて報酬が決まるため、正規雇用の人よりも収入が不安定です。実際にぼくの直近3年間の収入は、以下のとおりでした。
年度 | 年収 |
---|---|
2021年度 | 約169万円 (約234万円) |
2022年度 | 約314万円 (約375万円) |
2023年度 | 約421万円 (約486万円) |
※()内はいずれも青色申告特別控除の額(65万円)を上乗せした金額
詳細は後述しますが、金融機関によって審査基準とする収入は青色申告特別控除を含める場合と、そうでない場合で分かれるみたいです
フリーランスは正規雇用の人よりも収入の変動幅が大きいことから、審査の難易度がかなり高くなります。
とはいえ、フリーランスであってもある程度の年数が経過しており、必要な書類をしっかり提出すれば審査に通過する可能性は十分にあります。希望する条件では難しいでしょうが、住宅ローンは組めないと諦める必要はありません!
フリーランスが選ぶべきおすすめ住宅ローン3種
フリーランスでも住宅ローンの審査に通過できる可能性はあります。一方で、正規雇用の人よりも審査に通過する難易度が高いため、利用できるサービスが絞られてしまうのが現実です。
ここからは、フリーランスが選ぶべき住宅ローンを3種類に分けて紹介します。
住宅ローンの種類 | およその金利(年) |
---|---|
地方銀行 | 変動0.75~0.90% |
信用金庫 | 変動0.90~1.1% |
フラット35/フラット50 | 固定1.8%/1.92% |
ひとつずつ見ていきましょう。
地方銀行
フリーランスの人は、まず地方銀行の住宅ローンから当たってみるとよいでしょう。2024年10月時点での金利は変動で年0.75%~0.90%程度と、後述する信用金庫やフラット35よりもやや低めとなっています。
本拠地としている都道府県はもちろん、隣県にも支店を構えている銀行は多いため、選択肢は豊富にあります。
店舗数も多いため、申込みや手続きの際に利便性がいい点も大きなメリットと言えるでしょう。
信用金庫
地方銀行の審査が難しかった場合は、信用金庫も選択肢のひとつに挙がります。金利は変動で年0.90~1.1%と、若干ながら地方銀行よりも高めであるものの、フリーランスであっても柔軟に審査してくれます。
ただし、地方銀行ほど選択肢が少ないため、サービスを比較できないのがデメリットと言えます。また、支店数も地方銀行に比べると少ないため、手続きの際に不便に感じることもあるでしょう。
フラット35/フラット50
フラット35もフリーランスが検討すべき住宅ローンのひとつです。金利はフラット35が年1.8%、フラット50で年1.92%と、地方銀行や信用金庫よりも高めとなっています。
しかし、金利が全期間固定であることから、完済までの資金計画を決めやすいというメリットがあります。
変動金利と固定金利について
- 変動金利
⇒借入期間中に適用される金利が変動する仕組み。固定金利よりも低めに設定されているものの、将来的に高くなる可能性がある - 固定金利
⇒借入期間における一定期間もしくは全期間にわたって金利が一定となる仕組み。変動金利よりもやや高めである一方で、固定期間中は支払額が決まっている点がメリット
フリーランスでも審査の際に柔軟に対応してくれるため、仮審査は受けておくとよいでしょう。
金利が全期間固定であるため、将来の支払金額をきっちり見通しを立てたい人におすすめです。借入期間を35年としたい場合はフラット35を、金利が多少高くなってでも36年以上50年以内で組みたい場合はフラット50を選びましょう。
フリーランスが住宅ローンの審査に通過するポイント7つ
フリーランスでも住宅ローンの審査に通過できる可能性はあるものの、正規雇用の人に比べると不利になることは否めません。
少しでも審査に通過する確率を上げるために、ポイントを押さえておくことが重要です。審査に申し込む際は、最低でも以下7つのポイントを押さえておきましょう。
- 独立から3年が経過している
- 無闇な節税は避ける
- 手ごろな値段の住居を選ぶ
- 頭金を多めに用意する
- 他のローンや借入金はできるだけ減らす
- 連帯保証人を付ける
- 配偶者とペアローンを組む
ひとつずつ解説します。
1. 独立から3年が経過している
多くの金融機関では、直近3年間の確定申告書を求められるため、独立してから3年以上は経過していることが望ましいです。
前提として、住宅ローンを申し込む場合は収入証明書が必要になり、フリーランスの場合は確定申告書の写しが該当します。
独立して年数が浅いために直近3年間の確定申告書類を用意できなくても、申込みは可能です。しかし、審査の難易度が上がることは十分に考えられます。また、独立してから年数が短いと、金融機関側から「事業を継続できるのか?」「収入がなくて滞納しないかな??」と懸念されやすくなるでしょう。
金融機関の提出書類の条件を満たすことが第一ですが、事業を継続できる可能性を証明するためにも、3年は超えているとよいでしょう。
2. 無闇な節税は避ける
税金の支払いを少しでも抑えるために節税に努めている人は多いでしょうが、住宅ローンの審査を受けるうえでは却って仇になる場合もあります。住宅ローンの審査基準のひとつが年収ですが、フリーランスの場合は確定申告書類の「所得金額」の欄の金額を元に審査が行われます。
所得金額を算出する計算式は、以下のとおりです。
所得金額=売上高ー経費ー青色申告特別控除
売上高は審査の際に考慮されないため、間違えないように気をつけてください。上記の計算式より、経費を増やしてしまうと所得金額が減り、仮に審査に通過したとしても借入可能額が低めに出てしまいます。
これから住宅ローンに申し込もうと考えている人は、経費として落とすのはほどほどにして、所得金額を増やすことを意識するとよいでしょう。
3. 手ごろな値段の住居を選ぶ
フリーランスは住宅ローンの審査に通過するとしても、やや低めの金額となってしまいます。そのため、住宅ローンを利用するためには手ごろな金額の住居を選ぶことが求められます。
住居選びは一生に一度となる人が多いため、せっかくなら理想を詰め込みたいと考えるものです。しかし、フリーランスという立場にある以上は住宅ローンにおいて不利であるため、どうしても妥協しなければなりません。
少しでも物件費用を抑えるために、以下のポイントをチェックしてみましょう。
- 新築ではなく中古物件にする
- 多少アクセスが悪いところでも我慢できるか
- 間取りを小さめにする など
とはいえ、雇用形態に関係なく家選びはどこかで妥協しないと、際限なく金額が高くなってしまいます。そのため、家族と話し合って「どうしても妥協できないポイント」を絞り込み、住宅を選ぶとよいでしょう。
4. 頭金を多めに用意する
頭金を多めに用意しておくほど住宅ローンの借入希望額を低めに抑えられるため、審査に通過しやすくなります。住宅ローンの借入に必要な金額も低くなるため、毎月の支払い負担が小さくなる点がメリットのひとつです。
また、フリーランスだと住宅ローンの審査に通過したとしても、借入金額が低くなってしまうケースもあります。頭金を用意できれば、住宅ローンの審査が満額回答でなかったとしても、問題なく借りられるでしょう。
参考までに、頭金の目安は新築で10%程度、中古で10~20%程度と言われています。しかし、近年は頭金ゼロでも住宅ローンの申込みは可能である傾向があります。
頭金は必須ではないものの、用意しておけば審査で有利になる点は覚えておきましょう。
5. 他のローンや借入金はできるだけ減らす
他のローンや借入金をできる限り減らした状態で審査に挑むと、通過する確率を上げられます。住宅ローンの審査基準のひとつである返済比率は、収入に対して返済額が占める割合を指します。返済比率の算出時に用いられる返済額は住宅ローンに限らず、すべての借入金を元に算出されます。
返済比率=年間返済額÷年収×100
「他に借入金があることは隠せないのかな?」と思われる人もいるでしょう。しかし、金融機関は住宅ローンの審査の際に申込者の借入金の有無や利用状況を把握できます。そのため、借入金の有無については金融機関には隠し通せないと考えてください。
返済比率の算出にあたり含まれるローンや借入金は、以下のようなものが挙げられます。
- カードローン
- キャッシング
- 目的別ローン(カーローン、デンタルローンなど)
- スマホの割賦払い など
参考までに、フラット35における返済比率の基準は以下のように決められています。
年収 | 返済比率 |
---|---|
400万円未満 | 30%以下 |
400万円以上 | 35%以上 |
一般的に、返済比率が20~25%程度に収まる範囲であれば、無理なく返済できると言われています。
住宅ローン以外に借入金があると返済比率が必然的に高くなるため、審査に通過するハードルが上がります。そのため、すでに借入金がある人はできる限り返済をしておきましょう。
6. 借入期間はできるだけ長めに取る
返済比率を下げるために、借入期間を長期間にすることも効果的です。借入期間を長めに取ることで月返済額を下げられるため、必然的に返済比率も抑えられます。
実際に、ぼくが借入した金額にあたる約3,500万円を年0.75%で借りた場合における月返済額および返済比率を、借入期間ごとに算出してみました。なお、年収は480万円(月収40万円)とします。
借入期間 | 月返済額 | 返済比率 |
---|---|---|
25年 | 127,982円 | 32.0% (=127,982÷400,000) |
30年 | 108,599円 | 27.1% (=108,599÷400,000) |
35年 | 94,774円 | 23.7% (=94,774÷400,000) |
40年 | 84,422円 | 21.1% (=84,422円÷400,000) |
上記の表より、借入期間が30年の場合は27.1%だったところ、10年延ばすことで21.1%にまで下げられます。返済比率を下げられれば審査に通過する可能性を上げられることに加え、家計を安定させやすくなる点も大きなメリットです。
ただし、借入期間を長期化させると老後も返済に追われる点は、理解しておきましょう。そのため「老後は仕事をせずにゆっくりと過ごしたい」という人には、おすすめできない方法と言えます。
なお、金融機関によっては借入期間が長期になるほど金利が高めに設定されている場合がある点にも、注意が必要です。住宅ローンによって異なるものの、36年もしくは41年を境に金利が高くなる傾向があります。
6. 連帯保証人を付ける
連帯保証人を付けることでも、住宅ローンの審査に通過する確率を上げられます。
前提として、住宅ローンの契約をする際は、連帯保証人は必須ではありません。しかし、連帯保証人なしで申込みをすると、以下のような結果となります。
- 審査に通過する難易度が上がる
- 借入可能額が下がる
- 保証料が上がる
一般的には、連帯保証人は付けたほうが有利になると言われています。
ちなみに、ぼくの場合は連帯保証人の有無によって審査結果の可否には影響はなかったものの、保証料は大きく異なる結果となりました。
配偶者に依頼するのが難しい場合は、親や兄弟に相談するのもよいでしょう。審査に通過しやすくなるだけでなく、保証料が安くなることで後々の支払いも楽になるため、可能であれば連帯保証人は付けましょう。
7. 配偶者とペアローンを組む
自分名義で審査に通過するのが難しい場合は、配偶者とペアローンを組むのもひとつの手です。ペアローンとは、自分と配偶者両方の名義で住宅ローンを組むことです。
配偶者の信用情報によるものの、基本的にペアローンのほうが審査に通過しやすくなります。とくに、自分がフリーランスで配偶者が正規雇用である場合ほど、有利に働くでしょう。
また、借入可能額が大幅に増える点も、大きなメリットと言えます。配偶者のほうが高年収の場合は、借入可能額が2倍以上になることもあるでしょう。
ただし、ペアローンで契約すると離婚したときに大きなトラブルとなりかねない点に、注意が必要です。離婚後の名義変更やローン契約の一本化は難しいため、家から出ていく人が完済まで返済義務を負うケースは十分にありえます。
ペアローンで契約する場合は、万が一離婚となったときの対策をあらかじめ二人で話し合っておくとよいでしょう。
フリーランスが住宅ローンを申し込む際の注意点
フリーランスの人が住宅ローンに申し込む際は、以下の4点を押さえておきましょう。
- ネット銀行・メガバンクはかなり厳しい
- 考慮されるのは売上ではなく所得額
- 支払いの滞納がある場合は大幅にマイナスになる
- 金利の高いサービスを利用する場合は毎月の返済額を把握しておく
通過する確率を少しでも上げるために、ひとつずつ取り入れてみてください。
1. ネット銀行・メガバンクはかなり厳しい
住宅ローンの中でも、とくに金利が低いネット銀行やメガバンクは、フリーランスの立場で審査に通過するのはかなり厳しいと考えてください。住宅ローンは数多くの金融機関が提供しており、その中でもネット銀行やメガバンクは審査の難易度が高いと言われています。
とはいえ、住宅ローンの申込み自体は無料なため、試しに申込みをしてみるのは全然アリです。実際にぼくが審査に落ちたからと言って、他のフリーランスが通過できる可能性は十分にあります。
「ネット銀行やメガバンクに通過したら儲けもの」と割り切ったうえで申し込み、同時並行で地方銀行や信用金庫の住宅ローンもピックアップしておきましょう。
2. 考慮されるのは売上ではなく所得額
フリーランスの中には「自分が稼いだ金額(売上)=年収」と考えている人がいますが、正しくは確定申告書類における「所得額」である点は、外してはいけません。所得額とは、売上から必要経費と青色申告特別控除額(最大65万円)を差し引いた金額のことです。
実際の確定申告書類で言うと、以下の赤枠が該当します。
そのため、間違って「売上金」をベースで考えてしまうと、本来借入可能な金額を大幅に見誤ることになるでしょう。なお、住宅ローンによっては青色申告特別控除を考慮しない金額で審査を進めてくれる金融機関もあります。
資金計画を立てる際は、直近で提出した確定申告書類に記載されている所得額を確認しておきましょう。
3. 支払いの滞納がある場合は大幅にマイナスになる
過去に支払いを滞納したことがある場合、審査の際に大幅なマイナス要素となります。
- クレジットカードの支払い
- 借入金やローン
- 税金の支払い
- スマホの分割払い など
住宅ローンの申込みをする際に納税証明書を提出するため、税金の滞納も大きな影響を受けます。申込前の段階で滞納している支払いがある場合は、早急に済ませておきましょう。
税金を支払ったとしても、納税証明書に反映されるまでに時間を要するため、早めに対応することが重要です。
4. 金利の高いサービスを利用する場合は毎月の返済額を把握しておく
フリーランスが住宅ローンを組むにあたり、審査に通過したのが金利が高いサービスだけ、といったことは十分に考えられます。しかし、金利が高いと毎月の返済額が上がるため、借入したとしても返済できないというリスクもあります。
「高いと言っても年1.0%程度でしょ?」と思われる人もいるでしょう。実際に、借入額3,000万円、返済期間35年の場合における返済額を金利ごとに表でまとめてみました。
金利(年) | 毎月の返済額 | 返済総額 |
---|---|---|
0.30% | 75,253円 | 31,606,088円 |
0.40% | 76,557円 | 32,153,754円 |
0.50% | 77,875円 | 32,707,560円 |
0.60% | 79,208円 | 33,267,429円 |
0.70% | 80,556円 | 33,833,403円 |
0.80% | 81,918円 | 34,405,447円 |
0.90% | 83,294円 | 34,983,630円 |
1.00% | 84,685円 | 35,567,804円 |
1.80% | 96,327円 | 40,457,296円 |
金利が年0.30%の場合における月返済額は7.5万円程度であるのに対し、年0.80%の場合だと8.2万円程度にまで上昇します。総返済額にして、約300万円もの差が生じます。フラット35の金利と同等にあたる年1.8%では、年0.3%よりも月返済額が2.1万円も高くなり、家計を圧迫しかねない金額です。
そのため「借りられれば何でもいいや」という考えは持たず、無理なく返済できる金額に収まらない場合は、違う物件に切り替えることも選択肢の一つと言えます。
フリーランスが住宅ローンに申し込む際のFAQ
Q. 住宅ローンは経費にできる?
自宅を仕事場としているフリーランスであれば、月返済額の利息部分に限り、経費計上が可能です。なお、住宅ローンは居住用住宅として購入する以上、経費計上する際は家事按分をしてください。
家事按分の方法の例としては、家全体に対して、仕事場として利用している面積分の割合を元に算出することが挙げられます。
Q. 住宅ローンを組むための最低年収はいくら?所得200万円でも大丈夫?
住宅ローンを提供する金融機関によって審査基準は異なるため、最低年収は一概に言えません。そのため、所得200万円でも組める可能性もあれば、所得500万円でも組めないケースも考えられます。
参考までに、フラット35では最低年収などの制限はないと公表しています。
借入れに当たり、最低年収などの制限はありません。
ただし、年収に見合った返済負担となるように借入額を設定していただきます。
Q. 最長何年間に渡って借入できる?
2024年11月現在では、最長50年としている住宅ローンが存在します。ただし、住宅ローンは80歳までに完済しなければならない仕様上、50年に渡って借入できるのは29歳以下の人に限られます。
また、住宅ローンの返済期間が長期に渡るほど、金利が高くなる点にも注意が必要です。返済期間が35年もしくは40年を超えると金利が一気に高くなり、期間を短くしたほうが月返済額が低いというケースも十分に考えられます。
長期にするほど月返済額を抑えられるというメリットはあるものの、金利が高くなりやすい点は、理解しておきましょう。
Q. フリーランスであることを理由に断られることもある?
少なくとも、表向きは雇用形態を口実に断られることはありません。むしろ、審査落ちの理由は説明してくれないため、通過できなかった場合は自分で要因を考える必要があります。
実際にぼくも何社かの住宅ローンの審査に落ちましたが、いずれの金融機関も理由は教えてくれませんでした。
以下いずれかに当てはまる場合は、住宅ローンに申し込む前に可能な範囲で解消しておきましょう。
- 勤続年数(事業年数)が短い
- 年収が基準を満たしていない
- 返済を滞納したことがある
- 税金を滞納している
- 返済比率が高い など
事業年数や年収などどうにもならない項目はあるものの、他社の支払いや税金の滞納はすぐに解消できます。審査に落ちうる要素を少しでも排除し、有利な状態で住宅ローンに申し込みましょう。
フリーランスでもポイントを押さえれば住宅ローンを組める可能性あり!
フリーランスは住宅ローンの審査に不利と言われるものの、通過できる可能性は十分にあります。ただし、正規雇用の人に比べるとどうしても好条件の住宅ローンを利用するのは難しいため、借りられたとしても月返済額が高くなるケースは十分に考えられます。
そのため、無理なく返済できるか想定したうえで、住宅ローンを利用するか否か判断することが大切です。
とはいえ、審査を受けてみないことには通過するかどうかはわからないものです。審査を受けるだけなら無料であるため、まずは申込みをしてみることをおすすめします。
住宅ローン選びは今後の家計を大きく左右すると言っても、過言ではありません。少しでも条件の良い住宅ローンの審査に通過できるように、できる限りの対策を取りましょう!