「税金は現金でしか払えない」というイメージを持っている人は、多いのではないでしょうか。
近年は数多くの税金が、クレジットカード決済に対応しています。しかし、納税手順がわからないために、現金で支払っている人もいるでしょう。
この記事では、税金をクレジットカードで納付するメリットと納税方法について、解説します。記事を読んでわかることは、以下の通りです。
- クレジットカードで納税するポイント
- クレジットカード納税の手順
- 納税時のおすすめクレジットカード
金額によってはクレジットカード決済のほうがお得になるので、知っておいて損はありませんよ。
納税できるクレジットカードには数多くありますが、おすすめは楽天カードです。ポイントを効率よく貯められる上に、数多くの使い道があるのでおすすめです。
Contents
税金はクレジットカードで支払える
近年では国がキャッシュレスを推進していることもあり、数多くの税金がクレジットカード払いに対応しています。一方で、各自治体へ納めることになる地方税については、各自治体へ確認しなければなりません。
ここからは、クレジットカード払いに対応している税金を紹介します。
支払いが可能な税金一覧
クレジットカード払いに対応している税金は以下のように、非常に豊富です。
- 申告所得税及復興特別所得税
- 消費税
- 地方消費税
- 法人税
- 地方法人税
- 相続税
- 贈与税
- 源泉所得税
- 申告所得税
- 復興特別法人税
- 消費税
- 酒税
- たばこ税
- 石油税
- 石油石炭税
- 電源開発促進税
- 地方道路税
- 地方揮発油税
- 石油ガス税
- 航空機燃料税
- 登録免許税
- 自動車重量税
- 印紙税
- 国際観光旅客税
- 住民税
- 自動車税
- 固定資産税
- 個人事業税
- 都市計画税
- 償却資産税
- 不動産取得税
住民税や自動車税などの身近なところから、聞いたこともない税金まで、クレジットカード払いに対応しています。
地方税については各自治体へ確認する必要あり
地方税に関しては自治体によって、クレジットカード払いに対応している税金の種類が異なります。そのため、自分が住んでいる各自治体で確認する必要があります。
例として、宇都宮市の地方税について見ていきましょう。
- 市県民税(普通徴収)
- 固定資産税・都市計画税(土地・家屋)
- 固定資産税(償却資産)
- 軽自動車税(種別割)
- 国民健康保険税
上記の税金をすべて合わせると、年間数十万円にも及びます。
非常に大きな金額のため、クレジットカードで支払う選択肢は持っておくのがおすすめです。
クレジットカードで税金を納付するメリット
クレジットカードで納税するメリットは以下の5つです。
- 手持ちの現金がなくても納税できる
- ポイントを貯められる
- 時間を気にせずに納税できる
- 税金の支払いをカードで管理できる
- 現金を持ち歩くリスクを減らせる
これらを1つずつ、詳しく解説します。
1. 手持ちの現金がなくても納税できる
クレジットカードは現金が手元になくても納付できます。どうしても現金が用意できない場合の緊急措置として、クレジットカード支払いを利用するのもいいでしょう。
ただし、カードの支払期日に遅れないように注意してください。万が一、引き落とし日に遅れてしまうと遅延手数料を取られてしまう恐れがあります。
手持ちの現金がなくても支払えることが特徴ですが、支払い期日に間に合わない場合は、税金の延滞手続きを取りましょう。
2. ポイントを貯められる
クレジットカードで決済すればポイントが貯まりますが、納税も例外ではありません。現金では一切ポイントが貯まらないので、お得になる可能性があります。
実際に支払う税金によっては年間何十万円とかかることもあるので、数千円単位のポイントが貯まることも。例えば、還元率1%のクレジットカードで20万円を納税すれば、2,000円相当のポイントが貯まります。
ただし、後述しますがクレジットカードで納税した際は、別途手数料がかかる点に注意が必要です。とはいえ、納税額と還元率次第では獲得したポイントで手数料を賄えるので、お得になる可能性があります。
3. 時間を気にせずに納税できる
クレジットカード納付であれば家にいながら納税が完結するので、時間を気にする必要なく、仕事が忙しい人にもおすすめです。現金で納税する場合の対応窓口は、主に以下の3つです。
- 市役所
- 銀行
- コンビニ
銀行窓口や市役所は平日の日中しか対応していないので、仕事をしている人は行きづらいでしょう。また、コンビニは24時間空いていますが、寄り道しなければならない人も多いでしょう。
しかし、クレジットカードであれば家にいながら納税できるので、窓口や店舗へ足を運ぶ必要がありません。普段忙しい人にこそ、クレジットカードでの納税がおすすめです。
4. 税金の支払いをカードで管理できる
クレジットカードで税金を支払うと明細書に残るので、家計管理が楽になります。現金で支払う場合は領収書がもらえるものの、紛失してしまった経験は1度や2度はあるのではないでしょうか。
領収書は再発行してもらえないので、いざ家計簿へまとめようとしたときに、支払額を忘れてしまう恐れがあります。しかし、クレジットカードであれば確実に履歴として残るので、支払ってから時間が経ったとしても正確な記録が可能です。
またクレジットカードを家計簿アプリと連携すれば、決済した納税額が自動で家計簿に反映されるので、家計管理が楽になります。
5. 現金を持ち歩くリスクを減らせる
クレジットカード決済であれば、税金を支払うために現金を持ち歩く必要がありません。現金払いの場合、まとまった額を持ち歩くことになるので、落としたり盗まれたりする危険性があります。
年単位でまとめて支払う場合は、数十万円もの現金が必要になるケースもあるでしょう。まとまった額の支払いでなくとも、現金を持ち歩くのはやはりリスクが生じます。
紛失リスクはクレジットカードでもありますが、気づいた時点で差し止めれば問題ありません。紛失・盗難に対するリスクヘッジはクレジットカードのほうが高いので、安心して支払いに活用できるでしょう。
クレジットカードで税金を納付するデメリット
クレジットカードで納税するデメリットは、以下の2つです。
- 手数料が別途かかる
- 領収書・納税明細書が発行されない
それぞれ詳しく解説します。
1. 手数料が別途かかる
クレジットカードで税金を支払う場合、納税額に応じた決済手数料が別途発生します。実際にかかる決済手数料は、以下の通りです。
納付税額 | 決済手数料(税込) |
1円〜10,000円 | 83円 |
10,001円〜20,000円 | 167円 |
20,001円〜30,000円 | 250円 |
30,001円〜40,000円 | 334円 |
40,001円〜50,000円 | 418円 |
※以降も同様に10,000円を超えるごとに手数料が加算されます。
5万円以上の支払いでかかる手数料がわからない場合は、国税クレジットカードお支払いシミュレーターに使うと簡単に計算ができます。
決済手数料は確かにかかるものの、支払うクレジットカードを間違えなければお得になるので、安心してください。
例えば、還元率1%の楽天カードで5万円を納税した場合、手数料を差し引いても82円ほどお得になります。
獲得できる楽天ポイント
⇒50,000円×0.01(1%)=500ポイント
手数料を考慮した損益
⇒500ポイント−418円=82ポイント
「決済手数料がかかるから損」と諦める前に、お手持ちのクレジットカードで決済した際にいくら分のポイントが付与されるのか、計算してみてください。
2. 領収書・納税明細書が発行されない
クレジットカードで税金を支払うと領収書・納税明細書が発行されない点も、事前に把握しておきましょう。銀行やコンビニなどで税金を現金支払いすると、領収書や納税明細書が発行されます。
税金によってはクレジットカード払いでも、納税証明書が発行できるものはあります。ただし、証明書発行までには時間がかかるので、証明書がすぐに必要な場合は逆算して納税しなければなりません。
特に車検するときは「自動車税納税証明書」が必要なので、注意してください。車検が迫っているときに自動車税を支払う場合は、現金払いにしたほうが領収書を確実に受け取れるはずです。
税金のクレジットカード支払いはポイントが貯まるなどのメリットがありますが、状況によって、現金払いと使い分けるようにしましょう。
クレジットカードで税金を納付するまでの流れ
税金をクレジットカードで納付する際は、国税庁のクレジットカード支払いサイトで行います。ここでは画像付きで、クレジットカード支払いでの納税手順を解説します。
1. 利用にあたっての注意事項の確認
納税する前に以下のことを、しっかりと理解しておきましょう。
- 領収書は発行されない
- クレジットカード利用代金の引落日が法定納期限よりも後になっても、延滞税は発生しない
- 一度納税すると手続きの取り消しができない
- クレジットカードで納税して納税証明書を請求した場合、最大3週間程度届かない
- 納付金額に応じて決済手数料がかかる
- 利用可能なカードブランドは、VISA・MasterCard・JCB・AmericanExpress・ダイナーズクラブ・ティーエスキュービック
注意事項を確認し、チェックを入れます。
画面右側にある入力欄に納税予定額を入力すると、自動で決済手数料が算出されます。チェックを入れたら画面を下へスクロールして「同意」をクリックしましょう。
2.納付金額の入力
「氏名」「郵便番号」「電話番号」などを入力してください。
整理番号は必須ではありませんが、入力しておくと後々スムーズに納税できるようになります。お手元に納税通知書を用意して「納付税目」「課税期間」「申告区分」「合計額」を入力しましょう。
3.クレジットカード情報の入力
クレジットカード情報入力を「次へ」をクリックします。
4.手続内容の確認
最後に今までの入力内容を確認し、「納付」をクリックしましょう。
このあと、納付手続きの完了画面が表示されたら、納税完了です。
クレジットカードで税金を納付する際の注意点
クレジットカードで納税するときの注意点は、以下の通りです。
- 国税庁のサイト経由でないと対応していない
- 手続きの取り消しができない
- カードによってはポイントが付与されない
- カードの還元率によっては手数料と相殺できない
1つずつ見ていきましょう。
国税庁のサイト経由でないと対応していない
クレジットカードによる税金支払いは、国税庁サイト経由で行わなければなりません。以前まではYahoo!公金払いが納税に対応していたものの、2022年3月末を持って対象外になりました。
現金払いであれば、銀行口座やコンビニなど複数の支払い窓口がありますが、クレジットカードによる税金納付は国税庁サイトのみです。
国税庁のサイトを操作することに煩わしく感じて、結局現金で支払う人も少なくありません。とはいえ、実際にクレジットカードで納付するまでにかかる時間は5分程度とサクっと終わるので、この記事の手順に沿って操作してみてください。
手続きの取り消しができない
一度クレジットカードで税金を納めてしまうと、支払いの取り消しができない点にも注意が必要です。多めに納付してしまったり、決済するカードを間違えたりすることが考えられます。
納付するクレジットカードを間違えた場合などは、諦めるしかありません。
一方で、税金を多く払い過ぎた場合は、税務署で還付金請求するとお金が戻ってきます。ただし、請求してから1ヶ月以上の時間を要する可能性があります。
還付金請求の手続きをする際は、自分の所轄の税務署へ連絡しましょう。
納付し過ぎた税金は還ってきますが、余計な手続きをせずに済むように、クレジットカードで納付する際は金額や内容をしっかりと確認しましょう。
カードによってはポイントが付与されない
通常の買い物ではポイントが付与されるクレジットカードでも、税金の支払いについては対象外となっているケースもあります。具体的には、アプラス社が発行しているクレジットカードでは税金や健康保険は、ポイント付与の対象外です。
- Tカードプラス
- TカードプラスPREMIUM
- bitFlyer Credit Card など
また、ポイントが付与されるクレジットカードでも、通常の買い物よりも還元率が低めに設定されていることもあります。実際に楽天カードは普段の支払いは100円ごとに1円相当のポイントが付与されるものの、税金の支払いについては500円ごとに1円相当となっています。
クレジットカードで税金を支払う前に、まずはポイントが付与されるかどうか確認することが大切です。
カードの還元率によっては手数料と相殺できない
クレジットカードのポイント還元率によっては、手数料を上回るポイントを獲得できず、現金払いよりも金額的に損してしまう場合があります。
実際に、ポイント還元率0.5%のクレジットカードで50,000円分の納税をした場合に獲得できるポイントは、250円相当です。しかし、手数料の差し引きを考慮すると、以下のように損失を出してしまいます。
納税により獲得できるポイント
⇒ 50,000円×0.005(0.5%)=250ポイント
手数料との差し引き
⇒ 250ポイント−418円=−168円
クレジットカードであれば24時間どこからでも納税できるなどのメリットがあるとはいえ、損をしてしまうことがわかります。手数料との兼ね合いも考えて、クレジットカード決済をする際は、最低でも還元率1%以上のカードを使用しましょう。
国税・地方税以外でクレジットカードで支払いができるもの
クレジットカードがあればあらゆる国税・地方税を納付できますが、他にも以下のような支払いにも対応しています。
- 国民健康保険
- 国民年金
- ふるさと納税
具体的に見ていきましょう。
国民健康保険
国が加入を義務付けている国民健康保険の保険料もクレジットカードで納付ができます。会社勤めの人は、会社のほうで社会保険に加入しているので、自営業や会社を退職した人が主な対象となるでしょう。
国民健康保険の保険料をクレジットカードで支払う際は、スマホアプリ「モバイルレジ」をインストールする必要があります。請求書に印刷されたバーコードで読み取るだけで、簡単に支払いを済ませられます。
ただし、クレジットカードで支払う場合は別途手数料が発生する点には、注意が必要です。手数料と還元されるポイントを考慮して、クレジットカードで支払うべきか決めましょう。
なお、モバイルレジでの支払いはほとんどの場合で手数料がかかりません
国民年金
国民年金保険料についても、クレジットカードでの支払いが可能です。クレジットカードで支払う際は、初回の立替納付期間よりも前に年金事務所から届く書類で手続きを行う必要があります。
国民年金をクレジットカードで納付するメリットは手数料がかからず、加えて前納による支払いであれば割引されることです。
1回当たりの納付額 | 割引額 | |
---|---|---|
2年前納 | 387,170円 | 14,830円 |
1年前納 | 194,720円 | 3,520円 |
6ヶ月前納 | 98,310円 | 810円 |
毎月納付 | 16,520円 | ― |
引用:クレジットカードでのお支払い|日本年金機構
※金額は2024年3月31日時点
前納期間が長期間であるほど割引額が大きくなるので、可能であれば2年前納で支払いを済ませたいところです。ただし前納した結果、目先の資金繰りが困難になっては本末転倒なので、無理のない範囲で支払うことが大切です。
ふるさと納税
指定した地方に納税すると、納税額に応じて返礼品がもらえるふるさと納税でも、クレジットカードで支払いができます。ふるさと納税の多くはポータルサイトから申込みをすることになりますが、大半がクレジットカード払いに対応しています。
手数料がかからず、クレジットカードによっては納税額に応じてポイントが付与されるので、中長期的に見ると大きい節約効果となるでしょう。
クレジットカードで税金を納付するにあたってよくある質問
Q. 手数料を無料にする方法はある?
残念ながら、手数料を無料にする方法はありません。
クレジットカードによっては、納税額に応じてポイントが付与されるので、手数料と相殺して実質無料という形を取ることをおすすめします。
Q. おすすめのクレジットカードは?
納税でもポイントが付与されるクレジットカードを選びましょう。還元率が高いカードであれば手数料と相殺でき、納税額以上の負担をする必要がありません。
- リクルートカード
- JCB CARD W
- SAISON CARD Digital など
通常の買い物ではポイント還元率が高いクレジットカードでも、税金の支払いは対象外となっていることもあるため、事前の確認が必要です。
クレジットカードで税金を納付する際は手数料と利便性を考慮しよう
クレジットカードで納税をすればポイントが還元されてお得になるだけでなく、利便性が高いことも特徴です。最後に、クレジットカードで納税するポイントをまとめてみました。
- カードのポイント還元率と手数料を把握する
- 忙しいときはカード支払い納税を積極的に利用する
- 納税証明書が早急に必要なときは現金支払いする
ただし、クレジットカードで納税する際には手数料が別途かかるので、還元率1%以上のカードで決済しましょう。利便性が高い上にお得になる可能性があるので、ぜひクレジットカードで納税してみてください。